Photoshopで行うソラリゼーション


 ソラリゼーション (Solarization) はネガフィルムや印画紙などのハロゲン化銀(e.g. AgCl)を用いる写真の反転効果を利用した古典的な表現技法で,一般的には20世紀に活躍したMan Rayによるポートレート作品が知られている。

 ここで紹介するソラリゼーションを用いた作品は,銀化合物と光との化学反応によって生み出されるものと同等の表現をPhotoshopで再現させたものである。さらにデジタルデータをフィルムに印刷し,デジタルネガを作り,暗室でゼラチンシルバープリントに出力した。古典技法を現代の技術で表現した新たらしい試みの作品である。

 下の画像の左側はオリジナルのモノクロプリントで,右側が画像の一部にソラリゼーションを施したプリントである。これら二枚を比較するとソラリゼーションのサバチェ効果がよく分かる。暗室で行う古典的な技法でこの部分的なソラリゼーションを行うことは非常に困難であるが,デジタルであれば様々な表現が可能となる。この作品例のように画像の一部分だけをソラリゼーションにしたり,濃淡のバランスを調整したりといったデジラルベースでの加工は,表現の幅を広げてくれる。写真技術の化学反応で生まれたソラリゼーションは,現代においてまた新しい表現として生まれ変わることができたのではないだろうか。

 アイキャッチ画像のカラー写真はデジタルソラリゼーションのモノクロをさらにカラー化させてソラリゼーションを加えた作品 D-FUTUR である。


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